Shingo Tokihiroのおしゃれ旅情

第十二回
たゆとふ雲のゆくへと運命の楽譜


韓国の友人が疲れていた私のために連れて行ってくれたログハウスからの風景。太白山付近


奈良、若草山で吹いてくる風に

 最後の旅情の日記から4ヶ月。その間に八つの舞台をこなしてきました。今日は霜月最後の一日の前、つまり29日。東京は雨です。チャリティショウにミュージカル、ファションショウにパフォーマンス、コンサートそして展示会。ようやく少し自分を振返る時間ができました。

 流れゆく雲のようにあてどもなく移動しながら、かつての歌人や俳人たちが友人達を訪ね歩いたことを思いやるのです。その出会いが運命なのか、それとも偶然の産物なのかわかりません。ただ自分の中のある部分が豊かになっている実感があります。気がつけば、国内のみならず、海外にまで自宅に泊めてくれる友人たちができているのでした。イタリアの電車で声をかけて片言の英語で話して、その半年後には彼のファミリーと一緒に食事をしている自分でした。また中国の京劇の役者と友人になり北京に行ったことも。友人が「時広さんの行動力と社交性には驚かされる。」と実感込めて言ってましたっけ。一度出会えば相手が断らない限りずーと何年もその絆を結んでいく時広です。ある時はちょっと電話してみようと思い立って5年ぐらい音信不通のアメリカの友人に用もなく電話したりなど、なんのてらいもなくやってしまうのです。人が好きなんですね。いいえ愛してるといったほうがいいでしょう。 

 携帯で友人達に旅メールなんか送ったりしています。一番最近のものをご紹介しましょう。


岐阜のチャリティショウの会場となったホテルでのスナップ
 ある夜

 ぱらぱらと音符のような雨が降り始めた京都から東京へ。明日から韓国。今年のスケジュールを思いやると同時に今年の出会いを思い返すのです。嬉しいこと苦しいこと信じられないこと。でも時広は美に殉じる気持ちだけは捨てられなかった。来年のスケジュールをチェックしながら、新しい段階に入ろうといていると感じます。自分の知らない自分の中の美の引出しを他の存在によって教えられる。ようやく謙遜の意味を知り始めたようです。私自身が楽しみな、走り去る街灯りを人の心と感じ、平和を祈る時広です。またきっと会いましょうね。

 その人しか持っていない美しい音。これからも旅をしながらその土地や人やものたちとの出会いを≪調べ≫として私だけの運命の楽譜を記していくのだと思います。私の作品やパフォーマンスは人やその土地に捧げたものが多いのです。衣やスタイルという美を手段として世の中に問う、祈る。いつか私の作品を御覧になる機会があったならば、是非感想をお聞かせください。あなたがわたしのカタチではなく心を感じていただけたら幸いです。

(12月の舞台を思いながら、夏、このアトリエから思いがけず見えた花火を思い出す夜 東京)