Shingo Tokihiroのおしゃれ旅情

第十六回
作品集[世界]創作の途上は


八月初旬、栃木県岩舟町の岩舟山の麓、月見草の広場で。作品集の撮影風景。モデルは舞踏家・目黒大路、カメラマン・田中良知
 1998年に初めての作品集[曳く月戻る太陽]を私家版として出版した。それは、私にとって単に自分の本を出版しただけでない、創作の姿勢を明確にしたものだった。だから、今も時あるごとにあの本を手にしては眺めているし、啓発されるが多い。もちろん、いろんな意味で挑戦でもあった。出版した直後から特に予定もないのに次の作品集に向けて撮影を始めていた。最初の作品は2000年を前にしたからだろうか。シュタイナーの理論からタイトルのインスピレーションを与えられた。第2集は来年出版の予定であったが、2006年の八ヶ岳美術館での舞台衣装展に合わせて再来年に変更した。タイトルは[世界]。私自身の中から生まれてきたものだ。第一集が4年をかけて、今回は8年をかけて創りあげていく。この間に出会いとわかれを繰り返しながら、次と次と誕生してゆく写真というかたちで甦ってくる作品たち。デザイナーのカタログではなく生き方。先回の作品集を、(モードと平和を愛する人々)に捧げたように、今回は(地上に生を与えられた人々)全てに捧げたいと願っている。

 全ては繋がっています。あの空の一瞬に消えていく雲とも道路際の草たちとも私は繋がっています。過去と未来とも。宇宙でもなく、自分でもない、[世界]がテーマ。既に撮った幾枚もの写真を見ながら、モデルもカメラマンもスタッフも自然にも、時間にさえ感謝の思いが湧いてきます。深い思い入れ、時にそれは重過ぎるかもしれません。それがデザイナーで人間、時広真吾の生き方でもあるのです。嘘もごまかしもない。まだ、撮りつづけていきます。

 折々、創作途上の報告をさせてください。

(燕去月 東京)