Shingo Tokihiroのおしゃれ旅情

第十七回
暁の船出を想う大阪のコレクション

 朝9時に会場について急ぎ、作品の荷物を開けて準備をしてゆく。東京からモデル、福井からヘアー&メイク、着替えの手伝いは名古屋から。今回のコレクションのなかでのパフォーマンスのために奈良から書家が。これから一つの城を築いていくように忙しく動き回っている。VTRは大阪芸大の学生たち。まるで、私の作品のように各分野の人間達がパッチワークのように繋がりながら、SHINGO TOKIHIRO COLLECTIONの時空を生み出している。私はいくつもの歯車を同時に動かしながら、時間と勝負している。

 何度も深呼吸しながら、会場の窓辺から眼下に流れる大阪の川を見る。気がつけば、いろんな人たちがコレクションを支えてくれている。午後1時30分。ショウは始まった。テーマは東京と同じ[暁の便り]。けれど、その内容は発表される服も含めて新作が半分を占めている。というのは一点物のために売れれば次は新しい服が登場することになるから。ゆったりと始まったショウのプロローグは「茜に染まる夏、最後の雲に」がテーマ。全てで9つのシーンで構成されており、それは又アポロンに仕える9人のミューズをあらわしている。シーン7「夜の卵が割れるとき」で、書家の田上鐵牛氏が私のドレスに古今集から採った歌を書いてゆく。満天の星空を旅しながら進行してきたショウの最後は「暁に聴くあの人の声」。私自身、解説しながら不思議な旅をしている。高山大氏作、宵の明星・明けの明星。島田正敏氏作、暁の誓いのオブジェをかかげながら登場してくる。

 目の前に広がってゆく大地。群青の空の果てがほのあかるんできた。夜明けだ。朝風に乗って届けられた一枚の手紙をうけとり、そこに書かれた文字を読むことでショウは終わりを告げる。

 全てのスケジュールを終え、宿に戻り、一人夜をあてどなく見つめている私の心にあの韓国の抒情歌が流れていた。いつまでも、いつまでも くりかえし くりかえし・・・・・。

「雪」

小さな山道に 白い雪が きれいに積もったら
私の小さな足跡を永遠に残したい
私の小さな心が 白く染まるまで
寂しい冬鳥の声が遠くから聞こえてくれば
私の心に波紋が起こり、行き場を無くしてしまう
胸に刻まれた純潔なあの人の声
風か白い雪になって来るという
ずっと遠くの森の中へ 私の心は翔けていく
ああ、冬鳥は見えず白い余韻だけが残っている
目を閉じて聴いてみよう 終わりのないあの人の歌を
私はいつしか白い雪となって山道を歩いてゆく (訳Kim ふじお)

(大阪市)


京都瑠璃光寺の庭