Shingo Tokihiroのおしゃれ旅情

第二十一回
私というkeyステーション


 冬のある朝、それでも一瞬、春の香りがした日の夕まぐれ。一人スタジオで外を眺めたとき、巡り合ったいろんな人々の顔が思い出されてきたのです。すると、そこに宇宙が見えてきて、煌きわたる星雲がいくつも現われているのです。そして、それらの間を一本の光線が縦横無尽に繋いでいます。その中心に光の塊がありました。《KEY STATION》という言葉が浮かんできました。私という存在を中心として年齢も性別も多彩な人々、あるいは場所をつないでいる。そして、それぞれの人がKey ステーションなのだと。

 随分ひどい風邪をひいて寝込んでいました。その時に久しぶりにとれた自由な時間の中で、心の中は青空を雲が走っていきます。嵐というより夏の高原の感じです。私はいつも熱も測らず、病院へも行かずひたすら寝る人間なのだけれど、さすがに今回の風邪は熱と下痢と咳にひどく苦しみました。そのたびに何故かイランやアフリカの難民、インド洋で起きた津波の被害者のことを思うのです。今は大丈夫です。


 どうして、治ったかですか?ショウの仕事で子供たちやモデルさんたちに振り付けをして汗をめちゃめちゃかいて。人と衣裳と音と光よって現われる美しく温かな世界に身をおいていたら体調が戻りました。美には力がある。実感です。  今年も舞台が控えています。電話一本で舞台の仕事が入ってくる面白さ。興味があれば、その途端にデザインが生まれます。というか降りてくるでしょうか。

 “時広”という名のKeyステーション。ここを通過してゆく、限られた時間と人と心と場所たち。この駅に彼らが何を持ってきてくれるのか。この駅を去ってゆくとき、去ってからも何か温かいものを身のうちに宿してくれるなら・・・。私の願いです。

(リリック 東京)