Shingo Tokihiroのおしゃれ旅情

第三十七回
作品集「世界」を生み出す歓びと苦しみ


大杉和典、横笛演奏家・朱鷺たたら夫妻のカットは岡山の新見で
 マクベスのリハーサルの真最中です。3月の末には新潟の公演が始まります。5月に出版予定の作品集「世界」の構成と写真選びをしています。そして、まだ撮影をしています。いい加減に止めないときりがなくなると知りながら、もっともっとと思うと終わりません。撮り溜めた膨大な写真を眺めながら、どのカットにも想い出が甦って選択するのが困難になってきて結局決まらない状態が繰り返されているのです。製本を担当している人からは「何だか、去年の10月にはまとまっているとか言ってましたよね」などとやんわり嫌味をいわれたり・・。

島根県で海岸での撮影のロケハンをする写真家・高嶋敏展、ふさえ夫妻
こんなにカット数があるのにこの作品集にはこのカットが欲しいとか、このカメラマンにとって貰いたいなどと欲が出てくるのです。そして・・・。その願いは叶いました。何年も連絡の取れなかったカメラマンから急に電話がきたり、最新作の撮影ができたりと。改めてこの作品集を創る為に「縁」ある人々が運命的に集まってきている。その意味からもこの作品集は私にとって特別なものになります。京都の友人からは既に作品集に附けるDVDができたという連絡が入りました。[動いている作品]を観て頂きたいのです。BGMは友人が快諾してくれました。

栃木県岩舟町で撮影の準備をする写真家・田中良知氏

マレーシア、クアラルンプールでの舞台の楽屋で

シンガーの松田美緒さんと出会うきっかけとなった、鼓童(当時)の渡辺薫さんのパーティのメンバーたち
今回のモデルにもなっている鼓童の藤本吉利さんと
カメラマンも依頼作家も海外の友人達が加わっていて、改めて衣装デザインの仕事が私を多彩な世界へ導いてくれた事を知らされて感謝するのです。様々な事に出会い、人に出会い、心に出会ってきました。それは生かされていることでした。今回の作品集の特徴は、人の心に潜む[闇]のようなものも入れています。それは葛藤でもあり、悲しみでもあり、恐怖でもあります。世界は光だけでなく、影の部分も必ずありますから。けれども、そこには美しさを必ず湛えていなければなりません。私が仕えている美の神は、また愛の神でもあったのです。


先回の選択から漏れたカット
 今回の作品集は私という世界の内と外を巡る世界を表現をしようとしています。生みの苦しみと期待と歓びの果てに、この世に誕生した作品集[世界]がどのような姿で、人々に印象をもたれるのか本当に楽しみです。最初の作品集[曳く月 戻る太陽]は憑かれたように思いつたままに出版した気がします。あれから9年。時広が少しは成長したのかだろうか、この作品集がきっと教えてくれるでしょう。あの頃よりさらに自由になった時広の世界を。

(弥生 東京)


マレーシア、クアラルンプールのイスターナブダヤ国立劇場で、リハーサルの合い間に衣装を着てもらってスナップを