Shingo Tokihiroのおしゃれ旅情

第四十九回
旅人の安息の場所は・・人の温もりの

荏原母娘(札幌)
島田家(札幌)
 「時広さんは水のような人。どこにも自然に溶け込んでいて自然だもの。」友人の家族と一緒に食卓を囲んでいた時に、ふと、私に気がついたようにそう言って大笑いしたものだ。私の答えは「そうね、座敷わらしってとこかなあ」この仕事は人が好きでなければ続けていけない。幸いにも私は人が好き。そして、旅もまた。ホテルではなく、友人や知人たちの家に泊まるのがすきだ。日本にとどまらず、海外でも列車で知り合った人間のところへも良く泊まりにいったものです。イタリアの農家、韓国の山の家から、パリ、北京、ミュンヘン、ファエンッア、ロンドン、クアラルンプールときりがありません。ましてや国内はである。アトリエで仕事をしながら孤独に陥ることもあるけれど、ふらりと電話して「今から、行っていい?」などと連絡して出かけてしまうこともあります。そこにはいつも温かい人間が待っていて、毛布のように自然に私を受け入れてくれます。もしかしたら、迷惑なのでは?なんて心配はしないようにしよう。「どうぞ、来てください。待ってますよ。」の言葉を信じてその土地、その街、あの家を訪れる。このところ、一度旅に出たら一箇所ではなく、2,3ヶ所を転々と巡るようになってきています。若い夫婦の家から、家族から、そこでは明るい笑い声が必ず起きるのです。何か仕事とか目的があっていくのではない、あるとすれば「会いたいから」だろうか。そして、行けばまるで予定されたように新たな出会いが私を待っているのです。もともと、年齢を一切気にしない性格の私で、ある若いカップルの家で食事をしていて、彼らの両親が私より、若いことがわかり「それなら、お父様、お母様も一緒にお食事しようよ」と提案して急遽宴会状態。楽しいひと時となったことはもちろんです。

阿部家(佐渡)
若者二人と(リリック)
 同じように私はアトリエに人を呼ぶのが好きで、必ず手料理と飲み物、時に持ち寄りのパーティを余程多忙でない限り、月に最低一回はやってます。賑やかで楽しい話、最後は必ず私の衣装を着てもらって撮影会。誰でも時広の世界が好きな人は来ることができます。向日葵のような賑やかさと一人夕暮れを眺めている静けさと振幅のおおきな生活の彩り。私は思うのです。何てみんな心が広いのだろうと。その感謝を私はまた美しい一着の衣装で表現するのです。

 あの胸のすくような真っ青な海と黄金の太陽の光をもった島。億万の雪の降りしきるキャンパスを眺めなら飲んだココアの温かさ。若葉の匂い立つ古都の小さな駅の佇まい。モザイクのようにそれは時が経つにつれて輝きと存在を強めてきます。あの笑顔とともによみがえる芳しい時間たち。この旅人の心にはまだまだ、新しい出会いを入れる引き出しが沢山あります。同じ引き出しは開く回数を重ねるたびに、音楽を伴ってきます。時の歌を伴ってきます。それらは私だけが聴くことのできる永遠に聴くことのできる妙なる調べなのです。もちろん、この旅情を読んでくださっているあなたも、その引き出しをもっておられますよね。

(東京:授雲月)


ピクニックの図(佐渡)

三人のお客様(リリックにて)

船橋家(佐渡)

今海家(佐渡)