Shingo Tokihiroのおしゃれ旅情

第五十六回
卯花月・若葉の季節の入り口で


佐渡ヶ島の尖閣湾で「うぶすな」カタログ撮影しました

確かに揺れました!佐渡海峡
 アトリエ近くの目黒川の桜花の雲の如き爛漫の時が漸く終わり、人々のお祭騒ぎの喧騒もひと段落しました。、乙女のような薄桃いろに続き、あっという間に精悍な若者を思わせる柔らかな緑葉が吹き出して、周囲も若葉の季節。東京ではこの時期に23度を記録して、夏のうだるような暑さを早くも心配する声も。

 三月は桜前線を追いかけるように旅をしました。このところ、ご縁がある和太鼓の「鼓童」の仕事で、佐渡海峡を渡る機会も多くなっています。「どのくらい佐渡に来られてますか?」「よ〜く考えてみたらトータルで一ヶ月?!」いつの間に・・・と私も周囲も驚いています。「縁」の不思議さでしょうか。りゅーとぴあの新潟市につづいて、新潟とはご縁が繋がっています。

 そして、もうひとつの場所。それは長崎。数年前には別の仕事で訪れていたのですが、1月に友人の話が切っ掛けで寄ったこの街。時が再び巡ってきたのか、この海沿いの坂の多い美しい街で今年から来年にかけて、「美しい事件!」を起こそうという話が本気モードになってきています。思えば、山口、徳島、新潟、佐渡、京都、島根など、東京に住んでいながら、地方を回っている私。

長崎から博多まではインテリアのこった特急[かもめ]で

帰京の途中に寄った故郷、宇部の春
東京での仕事はないのかしら。気がつけば、一年の内で旅の空のが多い生活になっています。私の仕事は東京では受けいれるところがないのだろうか。何て、ふと思ったりもしています。

 今年は、秋に新国立でのオペラの仕事もあり、突然のコンサートの衣装依頼もあったりして、楽しみではあるのだけれど。来年、再来年の準備と、夏に出す予定のフォト・エッセイ「青蓮と月」の準備も遅れています。今年はこの狭いリリックでコレクションを発表しようという計画もたてて、私はいつも「生」を楽しもうとしています。フリーは「自由」。どこにも属さない。孤独ではあるけれど、気軽でもある。

 中学校の時に、国語の時間で知った

 白鳥はかなしからずや空の青 海の青にも染まずただよふ

と詠んだ若山牧水の歌が思春期の心に深く残ったことを思い出します。占いを観ても「孤高」の文字が私の場合、よく出てくるのです。人は孤独な存在ではあるけれど、何かを創ることを生業にした人間はそれを一層強く自覚させられる幸せな人間です。外の景色が光に満ちて、若葉の香りをそよ風がこの都会の小さな部屋にも運ぶから、何だかセンチメンタルな気持ちになりました。

5、7月公演の新潟りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ[テンペスト]のポスター撮り

リリックの近く、目黒川の桜

      迷ったときも
      立腹のときも
      嬉しいときも

              深呼吸

とファックスで送信してきた84歳の母の言葉の通り、深呼吸して始めますか!


(リリック:東京)