Shingo Tokihiroのおしゃれ旅情

第六十九回
月のように、太陽のように


オリエンタルクラシックで私の衣装を着られた市川笑也丈のファンの方から「いつも笑也に美しい衣装を着せていただいて有難うございます」のメッセージと共に戴いたマジックフラワーをドライフラワーして。

作品集「花軍・華」の撮影の為に新潟のROLCAさんが用意してくださった花。どのようなカットになったか・・・・・。
 2011年があっと言う間に明けて、この原稿を書いているのは成人の日の1月10日。一年で一番時が過ぎるのが早いと感じるのはクリスマスから正月三が日までの10日間。

 一年を振り返る時間もなく、新しい年に突入しながら、何故か昨年と違う奇妙な感覚でいます。数限りない出会いの上で成り立っている仕事であり、人生でもあるけれど、その振りの大きさに感化されてしまい、厭世感を感じ始めている。その一方で未来に大きく開かれたプロジェクトは、どれもこれまで以上に多くの人間たちと創り上げていかなければならない。

 生きること自体への疑念、家族や周囲との軋轢や、仕事の未来への不安などが、メールの形で届いてくる。別に私は人生相談をしているわけでもなく、人の人生に対して責任をもてる筈もなく、ただ私なりに意見を言っているだけなのだけれど。

 「時広さんはいつもポジティブだから・・・」といわれる。この一年の知人友人たちの生と死と成功と絶望と不条理と噂と感激は私を時に混乱させ立ち止まらせる。それでもそれが「生きることだ」と、思う私は一着の衣装を創り始めます。

 朝の連続ドラマのヒロインのように、何でも首を突っ込んで、若さと言う軽さで周りの迷惑もなんのその。結局その明るさで人々が救われるといった「お話」ほど、現実は単純ではないことは、とうの昔から分かっています。

 人が他人の人生を代われない限り、私はその人生に踏み込んでいく勇気はありません。それでも、悩みを抱える周囲の人々は自分自身の力で、自分の課題として取り組んでいます。そして、自分なりの解決方法を見出してすすんでいます。


なかなか一緒に過ごす時間のない家族と行き会ったりばったりのピクニック。正月の平塚の海は穏やかでした。

打ち合わせで17年ぶりに訪れた沖縄。首里城は修復中で、漆を塗り終えたばかりの壁はどこまでも往時の繁栄を思わせていました。
 ただ、人に起きること、人の運命に対しては月のように、太陽のように。ただ見守る自分になって行きたい。そう今は思っています。

いつまでも、変わらずその人を思っている。

 3月に出版する5冊目の作品集「花軍・華」の編集をしています。限られた人数でシンプルにとの思惑ははずれ、気がつけば、7人のカメラマン、29人の登場者それからスタッフ。写真を選びレイアウトしながら、心から「幸せな人間だからこそ創れる本」としみじみ感じています。

 世の中に吹きすさぶ物質至上主義と拝金主義の対岸にある世界から生まれるもの。それは必ず「美」という勇気を伴います。

 人々の心は、少しずつ行くべき方向を本能的に気づき始めているのではないだろうか。若者たちが押し寄せるエネルギーに満ちた東京・渋谷駅前のスクランブル交差点に立ってふと感じました。今までと違う感覚。

 「人の良心を信じきる。」

 わたしの2011年のスローガン?!です。

(正月・東京)