Shingo Tokihiroのおしゃれ旅情

第七十七回
自分の世界と微笑みと

レオニード アニシモフ演出「白痴」より の衣装デザインを担当しました。出演の東京ノーヴィ レパートリーシアターの女優さんたちと楽屋で
衣装展開催のために訪れたマレーシアペナン島ジョージタウンの名物、夜 店。マレー系、中国系と別れていて食べ物の種類も違う
沖縄県那覇市では、有名な甘味どころのお店「千日」。ここの沖縄そばは珍しくカツオ出汁で、さっぱりめ。芸能人もよくやってくるとか。名物女将だったお母様が亡くなって、お店をお兄さんと一緒に継いでいる若夫婦。大学時代からの友人
 久しぶりのおしゃれ旅情。第七十六回は私の誕生月。つまり、昨年10月に記したもの。2012年になって一月も終わり。旅をしなかったのではなく、立て続けに旅がつづいて、息つく暇も無かったというのが正直なところです。

マレーシアの中華 どれも日本人の口に合う味付け
 このおしゃれ旅情を書くことで、毎月の自分を確認していたような気がします。それを怠ったのですから。この間の私はどこかふわふわととらえどころの無い時間を過ごしていたかもしれません。

 衣装デザイナー、写真家、詩人、パフォーマー、演出家、時にプロデューサー。自分の世界を表現しようと生きていたら、こんな肩書き(?)が付いてました。

 私は何がやりたいのだろう。これから、どうしたいのだろう。

ある人が言いました。「普通は何かやるとしたら、これだけ儲けないといけない。そのためにどうするかを考える。だから、まず、利益(生活)を先に考えてそれから算段をするもんですよ。」「なるほど」と私。「でも、時広さんはそうじゃなくて、まず、やりたいことが先でお金や経費の問題は後にして行動しちゃうんですよね。」「確かに」と私。「だから、リスクを恐れずやり続けていることが凄いんですよ」「そうなの?」と私。「僕なんかリスク負ってまでやるなんて、恐くて出来ません。」「でも、好きなことをやるならばリスクは当然・・・・」

ペナン パフォーミング アーツセンターギャラリーに展示された衣装たち。オープニングのパフォーマンスも多くのギャラリーが集まった
時広のトークショウと青蓮のパフォーマンスが催されたマレーシア 国立テキスタイル博物館
 「私はね。美に力ありっていつも言ってるでしょう?それに、私は作品を創る立場だから、その作品にその人間が表現されるわけ。」「美というものを生み出そう、創り出そうするときに、まず、利益、利潤を考えては私は出来ない。そうやって、ここまできたから」そういうあるがままの私を、海外でも、国内でも受け入れて評価してくれる人たちに出会っていることが幸せです。それって、美の力じゃない?

いつでも、どんなときでも絵になるペトロナス ツインタワービル(クアラルンプール・マレーシア)
故郷の宇部は現代野外彫刻展を日本で初めて開催した街。街中に彫刻が溢れている。このカットは84歳の母の撮影
 一番訊かれるのは、「時広さんは、どうやって生活してるんですか。」なんです。他人からみたら、不思議なんでしょうね。特に財産があるわけでもなく、株などもせず。世の中の人と同じように大変です。でも、想像力は歳を重ねるごとに豊かになっています。それが幸せと感謝しています。

2012年最初の仕事は 「東儀秀樹の新春コンサート」この被り物はゲストのダンサー舘形比呂一のためのもの。クリスマスのオーナメントでデコレーション
「夢は現実の浸食を受けない。」は私の信条でもあります。「美の神様へ完全他力本願。」と、応えます。世の中を賢く生きる術を身につけないままこの歳まできました。色々な人たちに出会いました。いつも変わらない人、豹変する人。傲慢な人。謙遜な人。穏やかな人。知的な人。姑息な人。さもしい人。でも、みんな生きてるんですね。生きられている。それこそが凄いことだと思っています。

最近、笑う人っていいなあと感じています。大きな声で笑う人でも、静かに微笑むひとでも。そんな人に会うと心が和みます。

 また「有難う」って美しい言葉だなと。そんな美しい言葉を沢山言いながら。2012年も美しい世界を創造していこうと思います。多くの心ある出会いを成しながら。

(東京・睦月)