Shingo Tokihiroのおしゃれ旅情

第八十回
そうして 新しく 新しく

 あっという間に新しい年、如月になってしまいました。facebookもやり始め、そちらのタイムラインにも情報を掲載しています。いわば、facebookはブログ、ホームページは戻る場所という二つの時広の居場所を見つけたということです。

 何ヶ月もご無沙汰したおしゃれ旅情ですから、今回は少し長く。

 2012年も多くの出会いと絆と別れがありました。誰でもそれは起きることでしょうが、時の流れは酷くもあり、味わい深いと感じれるのもやはり生き続けてきたからと実感するこの頃です。そんな気持ちを中空一(時広のペンネーム)は創詩しました。


京都の美の種でパフォーマーに振付する。10月
暁に想う

沢山の人を裏切ってきた
数え切れない嘘をついてきた

白々と明けゆく空を見ながら
笑っている私

勝利を!勝利を!と求められ、叫ばれて
自分の時間は奪われた

この星は、せかされながら生きる星だと
悟り顔に、老いた罪深い私は独り言



流れゆく星に涙した

終わりがあることに、安堵して
永遠があることに 苦しんだ夜

沢山の人を愛そうとした
数え切れない真実を語ろうとした

時間の流れを晴れやかな祝福だと歓びと共に受け入れた日々
時間の流れが残酷な呪いと感じ悲しみ呻き拒もうとした日々

この心だけは奪えない、
誰にも、神にも、悪魔も、時間にさえも

それを知って、
私の心に蟠(わだかま)っていた何かが緩やかに解けていく

誰かを愛したいという祈りが立ち上がってくる
長い時間、本当に長い時間が必要だった

黄金と朱華で憧れの輝く雲は
夢のようにカタチを変えながら
新しい一日を待ち望み

私たちに告げるのだった
「生きましょう」と

東の地平線から昇る日輪から放たれた光の矢が
私を貫いたその瞬間 

この体に記憶された数千億の記号が、一斉に謳い出す
踊るように、芳しい香りのように、命に溢れた歌

その歌の名を「取り戻した栄光」と呼ぶ

ミュージカルPAPER CRNEのオープニングナイト(クアラルンプール)7月
 作品集「美(うま)し男たち・預言/青蓮」の出版、4箇所での美の種開催、マレーシアの劇団のミュージカル(PAPER CRANE)衣装デザイン&プラン、徳島県吉野川市鴨島公民館の市民参加パフォーマンス「空と大地と人を結ぶ虹」(地域文化創造発信イニシアチブ事業、東儀秀樹「古事記音絵巻1300年紀」など、目まぐるしくあちこちを移動して、知らない打ちに忙しさの生むストレスは、次第に私自身の体調が変調をきたしていったのでした。年末にはそれが絶頂に達して「鬱」になりかけました。これまで、やってきたこと、言ってきたことの全てが綺麗ごと。厭わしくなり、何の価値もなく無駄に思え、同時に、どこか希望を抱きたいという願いもまた消え果ないのでした。

 宗教的な表現で言えばそれを「試練」というのでしょうか。「生老病死」を四苦と呼ぶことに共感し、「健全なる精神は健全なる身体に宿る」その有難みを思い知らされる。全てが堂々巡りの日々。

平家落人の地、祖谷の蔓橋(徳島)8月
 しかし、私の状態と関係なく出会っていく素晴しい人たち、心躍る現場、涙する感動の場面。衣装デザイナーとして、演出家として創作する。人とコミュニケーションして共同作業である限りは気を使い、「成功」というノルマやストレスは当然、受け入れていかなければならない。そんな当たり前のことに耐えられなくなっている自分がいました。

 自身のプロデュースしたパフォーマンスの中で「私は幸せなデザイナーです。」と挨拶する自分を観ながら、確かに・・・と呟いている私も居ました。

 「創る」ことが私を救い、「家族」に守られていると感じたのはいつだったでしょうか。「信念」が揺らぐ。傲慢になっていた私が「自分の弱さ」を知った時でした。

2013年1月に開催した柏の美の種、出演者と共に
 東西南北へ巡りながら、過ぎ去った窓外のなんでも無い風景が、ふっと甦ることもあります。このリリックの運命と私の運命が一つで、発信続けていたメッセージが本物だったかどうか、言葉ではなく「作品」でその答えが出てくるでしょう。

 「出会う」ことが生業であり、それは永遠の世界までも続いていくのかも知れません。「良心に従う。誠実である。」他人に対しても、自分に対しても。

 縁があり、時広の作品や舞台に出会うきっかけがあった時、あなたが何かを感じて貰えたら嬉しい時広です。

中空一の詩の中でも多くの人から支持されている(微笑みの連祷)で、2013年最初のおしゃれ旅情、第80回(末広ですね!)を始めたいと思います。どうぞ、お元気で。日々生まれ変わる新しい日々に感謝しながら。

(如月・東京リリック)

 微笑みの連祷

私は誰にというのでもなく 微笑んでいた
笑いは 色んな色と熱をもっている と知ったのは
私が自分の歳を忘れるようになる そんな一日前のことだった

氷のように冷たい笑いに 怯えた時もあった
春の大地のような温もりの笑いに 思わず泣いたこともあった
嬉しかったなあ

海を渡り、アジアの緑深いジャングルで見知らぬ老婆に会った
彼女は微笑んでいた。限りない優しさで 見ず知らずの私に。

あれから
微笑みを言葉にして この星のあちこちを巡り、時間の中を旅している
この言葉は国境をもたず、争いを起こさず、安らぎを生み出す言葉だった 
時間を超えて、力を与える言葉だった

多くの記憶が砕け薄れ 同時に 忘れていたもっと幼い頃の記憶が
甦ってくる人生の季節に
私、いつも 微笑んでもらっていたことに気づいたのだった

それは父であり母であり、祖父に祖母であり 鳥の声や若葉を打つ雨の音、
蜜蜂たちの羽音、寒い朝に舞い落ちる雪にさえ 私は愛されていた
生まれたことを、生きていることを愛されていた

今の私だからできる微笑みをあなたにあげましょう
湖面に風が漣を広げていくように
未来へ、過去へ、あなた自身に
微笑んで欲しい

有難うという 美しい言葉とともに

きっと、世界は
その言葉を待っているに違いないのだから

中空一